明日で9月も終わり、今年も残すところ3か月だ。百貨店などでは早くも来年正月のおせちの予約販売がスタートしている。しかし日中はまだ暑く気温は30℃を超え半袖に短パンで過ごしているので、おせちと言われても今ひとつピンとこない。
ところで、ある出版社が全国20代から60代の男女3,500名を対象に2024年の「おせちに関する意識調査」を行った。調査結果は「来年のお正月におせちを食べると思いますか?」という質問に対し、81.2%が「食べると思う」と回答した。そしておせちを食べる予定の方に複数回答で食べる場所を尋ねたところ、「自宅」と答えた方が83.1%で最も多く、お正月は家族で食卓を囲む姿が改めて示された。
また「あなたのご自宅では、来年のお正月におせちを購入すると思いますか?」という質問に対し、「購入する」と回答した方は68.9%で、昨年度の調査から26.8%増加した。さらに「購入する」と回答した方におせちを購入する理由を複数回答で尋ねると、1位は「自宅では作れないような品目が味わえるから」(61.1%)、2位「年末年始は家事を減らしてゆっくり過ごしたいから」(47.2%)、3位「縁起物・日本の伝統行事を大切にしたいから」(43.4%)、4位「自宅まで届けてもらえて便利だから」(41.3%)などの回答が寄せられた。コロナ禍を経て、手間なくプロの味を堪能できる市販のおせちの魅力や利点が浸透している結果だった。
昔、おせちは市販されておらず各家庭で作るものだった。うちでは年末になると祖母とお袋が夜遅くまで慌しくおせちを作っていたが、祖母が亡くなり、お袋一人でおせちを作るのは大変だろうと、僕がおせちを百貨店で購入し実家に帰省した。正月は妹家族も実家に集まり、皆で賑やかにおせちを囲んでいたが、親父が長く入院するとお袋は僕と一緒に暮らすことになり、以前のようにおせちを囲んで賑やかな正月を迎えることは無くなった。
昭和から平成へ。そして令和へと時代が移り核家族化や夫婦共働きが進むと、手間を掛けることより便利さや効率を求める生活スタイルに変化した。今の時代、都会で暮らす子供達はおせちを店で買う物だと思っているのかもしれない。
昔、実家の台所で祖母とお袋が夜遅くまでおせちを作っていた姿を思い出すと、賑やかだった大晦日や正月が懐かしくまた切なく感じる。あの時代は慌しい中に人の優しさと温もりが溢れていたように思える。 来年の正月のおせちはどうしよう。自宅でおせちを作ってみるのも良いかもしれない。