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温故知新
2021年07月03日

7月に入いると近所の大木から蝉が鳴き始め、いよいよ夏の訪れを感じさせる。あと2週間もすると、梅雨が明け暑い日が続くと思うとゾッとする。しかし今は在宅勤務なので以前より涼しく過ごせそうだ。

最近では厳しい言葉を使うと直ぐに「パワハラ」と騒がれる。「パワハラ」とは組織の中の地位や人間関係などの優位性を利用し、相手に不快感や苦痛を与えることだが、僕の若い頃は世の中に「パワハラ」が溢れていた。
会社の会議に出ると上司はいつも大声で怒鳴り根性論を話す。会社の飲み会に参加することは絶対で、飲み会を欠席すると、翌日、上司から嫌な顔をされた。また飲み会ではイッキ飲みは当たり前で、上司の横に座りグラスを差し出し上司が注いだ酒をイッキに飲み干す。今の時代、上司が部下にイッキ飲みを強要すれば、周りは「パワハラ」と直ぐに騒ぎ、厳しい目が向けられるだろう。
しかし「パワハラ」が当り前だった頃、今と比べると良いところもあった。当時は努力が報われる時代で、義理や人情がしっかり機能しており営業で得意先に足蹴に通うと仕事を貰うことが多かった。それに得意先は貸し借りを大切にしていたので、借りがあればちゃんとその借りを仕事で返してくれた。また得意先や上司に中元、歳暮を贈ることは当たり前で、中元、歳暮を贈った先からは丁寧な礼状を頂いた。今は中元、歳暮を贈っても礼のひとつも言ってこない人も多い。

今の時代はドライで義理人情は社会から消え、貸し借りなどは口先だけで感謝の気持ちは微塵も感じられない。そして世話になった人に中元、歳暮を送る習慣も無くなった。
昨年から新型コロナウィルスの影響でオンラインでの打ち合わせが増えたが、最近では面識のない人からオンライン上での面談を希望する旨のメールがやたらと送られてくる。僕は全て無視しているが、何とも簡単な時代になったと思ってしまう。
新型コロナウィルスはドライで合理的、そして簡単な時代へと加速させているが、ひと昔前の習慣や人間味が今の時代にも引き継がれ、今の時代と調和していても良いのではないかと感じてしまう。

毎年、夏になると炎天下の中、スーツを着て汗だくになり得意先に足蹴に通っていた頃を想い出す。あの頃の暑さが僕を夏嫌いにさせたのだろうか…。


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