入院している親父が肺炎を起こし高熱が続き意識が朦朧としているので、医者からは覚悟しておくように言われた。親父は10年ほど前に前立腺癌が見つかったが、早期発見だったので事なきを得た。その後、年齢を重ねた親父は突然、癲癇を発症し、それが引き金になったのか、パーキンソン病、レビー小体型認知症と脳の病を立て続けに発症した。
それまで親父は風邪ひとつ引いたことがなく、毎日スポーツジムに通い水泳で体力維持に努めていたが、癲癇による突然の発作から事故を防ぐため、医者から運動や自動車の運転など日常生活を制限され体力と脳機能が落ちていった。
その後、癲癇の症状は見られなくなったが、パーキンソン病とレビー小体型認知症が少しずつ進行し、歩行に悪影響を及ぼし転ぶことが多くなった。そして昨年の5月に親父は庭で草取りをしていた時に転んで頭を強く打ち急性硬膜下血種で手術を受けた。無事に手術を終え退院に向けてリハビリを行っていたが、嚥下障害から肺炎を繰り返し、食事を取ることができなくなったので胃ろうを検討したが、親父は食事を取りたい一心でST(言語聴覚士)によるリハビリを根気強く受け、昨年末には退院しお袋と二人で日常生活を送れるまで回復した。
そして今年のお盆に親父は自宅で転び足を痛め入院し再びリハビリを受けていたが、また嚥下障害から肺炎を起こし、今は救急病院で40度を超える高熱で死の淵を彷徨っている。
死は必ず訪れ誰も逃れることはできない。しかもどのような状態で死を迎えるのか、死の直前までなかなか予測できない。親を見ていると、いずれ自分にも訪れる高齢の生活と、死をはっきりと意識するようになった。また親族の死を目の当たりにしたことで、多少なりとも死を学習することができた。
まず周りに迷惑をかけずに綺麗な死に方をするためには早いうちから身辺整理が必要で、死をしっかり見据え計画は立て、身のまわりを整理し不必要なものは処分しなければならない。また資産も可能な限り現金に替え、現金をひとつの銀行口座などに纏めておかなければ死んだ後に遺族は整理が多変だ。
健康面では脳の病を患うと周りに随分と迷惑を掛けてしまい、自らの行動までも制限されてしまうので、脳の病に掛からない努力が必要だ。また胃腸系の病や嚥下障害にも気を付けなければ食事が取ることが難しくなり生きる喜びを奪われてしまう。そのためには栄養バランスのとれた食事はもちろん、適度な運動と脳のトレーニングを日々行ない、ストレスのない生活を送らなければならない。楽器の演奏は脳に刺激を与え、カラオケで歌うことは嚥下障害に有効だと言う。いずれにしても綺麗な死に方をするためには毎日の努力が必要だ。
親父は全く身辺整理ができていないので、死んだ後の遺品の整理は大変だろう。お袋は全て俺任せなので、考えただけでもゾッとする。
written by モンコ