ウェブのニュースで以前取引のあった得意先の業績が悪いと出ていた。その得意先はアクセサリーの製造販売する企業で、全国のGMSなどにかなりの店を出店している。数年前まで業績は好調で社長の羽振りは良く、僕も数度お酒をお付き合したことがあるが、彼は湯水のように金を使い毎日贅沢三昧だった。またフェラーリを購入したからと、僕を手軽なドライブに誘うこともあった。
彼は飲食店などに複数のビジネスを矢継ぎ早に拡大させ、メディアには彼の派手な暮らしぶりが取り上げられ、まるでセレブの代表のようにもてはやされた。そして彼はド派手な本当の超成金になってしまった。
ド派手な超成金になっても僕は多少の付き合いはあったが、会うたびに彼の顔がまともな人の顔から、まるで悪魔に取り付かれたような醜い顔に変貌していくので、少しずつ距離を置き今では音信不通だ。
業績悪化のニュースに触れて僕は企業業績を調査する会社に問い合わせ、彼の会社の業績の調査報告書を入手した。調査報告書に目を通すと確かに業績が悪く、毎年、売上げは右肩下がりで全く冴えない。少子高齢の波が押し寄せ、更に若い人のファッショントレンドも変わり、その企業を取り巻く環境は大きく変化したようだ。
結局、多角経営で進めた飲食店なども上手くいかず全ての店を閉めたという。また数行の銀行から多額の借り入れがあり、銀行への返済だけで月に3,500万円に上るようで、資産である自社ビルや自宅は全て銀行の根抵当に入っており、融資枠は限界まで達しているという。
ここ数年で彼の時間は逆回転を始めたようで、彼の心中は火の車で鬼の形相で資金繰りに駆け回っている姿を想像してしまった。
石橋を叩き、しっかりと市場分析し堅実な経営を行っていれば、皆から尊敬される社長になっていただろう。大金に目がくらみ悪魔に魂を売ってしまうと、本当に顔が醜くなってしまう。彼がしっかり再起して素敵な仏様のような顔の社長になって欲しいと思う。
written by ジェイク