プライド
2017年05月29日
以前、共同で会社を経営しているとき、稼ぎの少ない人間がボーナスを受け取ることを拒んだ。自分は稼ぎが少ないのでボーナスは要らないと言う。そこまでは潔く格好良いのだが、僕が皆でボーナスをもらうべきだと主張すると、結局その人間は渋い顔をしながらもボーナスを受け取った。
だったら最初から気持ち良くボーナスを受け取り、これからは稼いでくるからと言った方が格好良いものを…。全く気概がない。
またこの人間とは逆に、最初から自分は多くの金額を受け取る権利を主張する人間もいた。ろくに結果も出してもないのに自分の立場や自分の頑張りを主張し、何としても自分の欲しい金額を受けとろうとする人間だ。それはそれで情けなくなってしまう。
人は目の前に金銭を提示されると、なかなかそれを断わる事ができず、欲望に負けてしまうのだろう。今の時代、潔い武士のような人間が減っているように感じる。逆に今の時代には武士のような人間は必要ないのかもしれない。またこの時代に本物の武士がいても驚いてしまう(笑)
以前、僕も何度か目の前に金銭を用意された事がある。その時、僕は生唾を飲み込んで自分の欲求をグッと押さえ潔く断わり、そして二言は無かった。僕は格好を良く見せるつもりではなく、プライドと男が廃れることにこだわった。このことで、金銭を用意した方はその時の僕の態度を買ってくれて、今でも僕を信用し深いお付き合いをさせていただいている。
人間は欲の塊のような生き物で、自らの欲求を満たす物を目の前にすると断る事ができない。しかしそのときの潔い態度で人間の本質がしっかりと見えてくる。本音と建前を使い分けず人間としてプライドを持ち人間が廃れないように生きるべきではないだろうか。
written by 彦之丞